いまはダイエット情報だけでなく健康情報も溢れているため、「グルテンフリー」というワードも一般的になってきました。
数年前までは健康志向の高い人だけが知っているワードでしたが、いまはグルテンフリーの理屈は抜きにして認知度は相当高いはずです。
まだグルテンフリーをする人は少しマニアックな印象があると思いますが、これからどんどん取り入れる人が増えてきます。
ただ、グルテンを理解しようとすると栄養情報だけでなく栽培の知識も必要になるので、実はかなり多角的な知識が要求されます。
“なんちゃってグルテンフリー”をしないよう、ここで詳しく解説していきます。
なぜ、グルテンは避けた方がいいという情報が多いのか?
グルテンを摂取すると次のような弊害があると言われています。
○セリアック病病
グルテンにより小腸の粘膜を傷つけます。
本来は細かな網目をしていて、栄養素を通過させ、異物をバリアします。しかし、グルテンによって腸の網目が開きます(広くなる)。
それによって異物も通過してしまい、有害物質の影響で吸収障害や貧血・疲労感などが強まります。
○小麦アレルギー
グルテンに対して過敏に反応してしまうことです。
例えば、身近な事例では花粉症です。花粉が体内に入り、それを攻撃し過ぎてしまうことで反応が出ます。それと同じく小麦を食べることで免疫反応が過剰になってしまい、自分の細胞を傷つける形になります。
他にもいろいろありますが、ちょっと専門的になりすぎるので割愛します。
とりあえず、「グルテン(小麦)を摂取すると腸のバリア機能が弱まる」というところまで覚えておけばOKです!
・肌荒れ
・かゆみ
・疲労感
・ホルモンバランスの乱れ
がある方は、私の経験上、砂糖・小麦の摂取量が例外なく多いです。「例外がない」というところが“答え”だと思います。
ダイエットでグルテン(小麦)は避けるべき?
結論、私は控えるべきだと考えています。
ただ、先ほど解説した内容とちょっと視点が違います。上記の内容はあくまで一般論であり、表面的な内容です。
なぜかと言いますと、日本人で小麦アレルギーを持っている人の比率は低いです。子供のころは10〜15%ほどアレルギーを持っていると言われていますが、大人になると1%前後になります。
では、小麦に対してそんなに意識しなくていいのでは?と思うはずです。
次にその理由を解説していきます。
問題なのは小麦の製法・輸入法
小麦はカビが生えやすく、温度・湿度管理が非常に大変です。そのため、殺虫剤・除草剤などの量が多いです。
いまの時代はSNSで「虫が混入していた!」なんて情報が出たら致命傷になるので、より一層、そのリスクを避けるために企業側は管理の徹底します(=有害物質が増える)。
小麦に虫もカビも発生しない状況にしつつ、そこから輸出です。小麦の輸入率は90%近いので、気軽に食べる小麦食材のほとんどは海外製と思っていいです。
輸出されるときはコスト削減のため船によるものがほとんど。その期間は約1〜2ヶ月となります。
その間、高温多湿の地域も通過したりするので、より一層、品質管理を徹底します(殺虫剤・除草剤など)。
ちなみにスーパーとかでは常温で小麦が積まれていますよね?常温であればすぐに虫が湧くはずです。
何も問題がないというのは“そういうこと”です。野菜も農薬問題はありますが、小麦は野菜と違って洗うことができません。
そして野菜と違い、“一食で大量に摂取”できてしまうのも小麦の特徴です。
ラーメンやパスタなどがいい例です。
ダイレクトに有害物質が体内に入ってくるため、私はグルテン以外の問題で小麦を避けた方がいいと考えています。
アレルギーやセリアック病などがなく、摂取量さえ気をつければ、グルテンだけではそこまで影響はないかなと思います。
私はパンやラーメン・粉物が大好きですが、気を抜く日以外は小麦を避けています。要は、嗜好品という位置付けです。「栄養摂取」という観点で食べません。
私はアレルギー持ちですが、本来であれば小麦を摂取しても問題ないはずです。
しかし、先日血液検査をしたところ、明らかに体内の炎症反応が強くなっていました。免疫反応に問題が出てきているということです。
検査時はちょうど筋肉を大きくしようとしていた時期で、炭水化物を多く摂取するためにうどん・パスタなどを頻繁に食べていた時期です。
表向きの体質は「小麦アレルギーなし」ですが、ちょっと怪しい感じがあるので、しばらくは小麦を制限(ゼロにはせず)してみて経過をチェックします。
小麦の「種類」も意識できれば最高
ここまでの内容を見る限り、「小麦は悪」というイメージになっていますよね?
これは非常に難しいですが、品質さえ良ければ小麦自体は悪ではありません。日常で気軽に摂取できる小麦製品はカラダによくないと断言できますが、現実的に小麦のない生活は難しいはず。
そこで、少しでもカラダにいい小麦を選びたい場合、「スペルト小麦」という種類を選ぶのがオススメです。実は、小麦も品種改良が進んでいて、「現代小麦」「古代小麦」というものに分かれています。
何が違うかを簡単に解説しますと
・現代小麦:精製されていてグルテンが多い=もちもち感を出しやすい
・古代小麦:精製度が低く、グルテンが少ない=もちもち感が少ない
健康面を考えると古代小麦が理想ですが、正直、値段が高いです。
現代小麦の2倍の労力で、収穫できるのが半分という形なので、スペルト小麦のパスタなんかは普通のものより2倍以上します・・・
なので、健康を意識するのに小麦の“摂取方法”を意識していくのは現実的ではありません。
小麦を食べてもダイエットは可能
よくある質問に「グルテンを控えれば痩せやすくなりますか?」というものがありますが、個人的にはあまり関係ないかなと考えてます。
ネット情報ではグルテンを控えると痩せやすくなるというものをあったりしますが、食事量・食事の質を変えるだけで十分痩せることはできます。
私のダイエット受講生はパンなどの小麦製品を摂取しながら成功している方がほとんどなので、一気に制限をしてもらうことはありません。
むしろ、砂糖もそうですが、小麦も含めてゼロにするのは現実的ではないですし、食材の制限が相当出るのでダイエット自体が続かなくなります。
「痩せる」のではなく「体質を変えたい」という方だけ、強めの制限を提案することはあります。
まとめ
・グルテンが腸のバリア機能を弱めることで、体調不良の原因になることもある
・アレルギーなどがなければ神経質にはならなくていい
・小麦の製法・輸入法により、グルテンより防カビ・防虫処理など有害物質のリスクが高い
・日常的に摂取しやすい小麦製品は“嗜好品”と割り切る意識が大切
・小麦を完全に避けなくても、ダイエットは可能
・本気の体質改善にはグルテンフリーは必須
健康系の情報を突き詰めて深堀りしていくと単純な栄養素だけで判断できません。製法も知る必要がありますし、その背景には法律の規制もあります。
さらに、その法律は政治的な視点でもチェックしなければ「本質」には辿り着けません。ダイエット・健康情報は気軽にチェックできますが、本当に奥が深いです。
今後も常に勉強をしながら、他では見られない多角的な視点で解説をしていきます。